Kotani’s Labo
Welcome to Yasunori Kotani Laboratory
& SPN Laboratory
東京科学大学
環境・社会理工学院 社会・人間科学系
リベラルアーツ研究教育院
小谷研究室(自称:身心相関研究室)へようこそ
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私たちは、朝起きたときに、着替えて仕事や学校に行きます。しかし、眠たいときや疲れているときには、体にむち打って、休みたい気持ちを抑えながら、ある意味「苦しみながら」仕事や学校に向かいます。このような、「気持ち・感情・やる気」はどのようにして生まれてくるのでしょうか。
人間の脳には「島皮質(とうひしつ)」と呼ばれるその名の通り「島」のような形をした脳領域があります(詳しくはAbout SPNタブをクリックしてFigure 4を見て下さい)。この領域は、体からの入力を受けて、それを「感情・意識」に変換する機能を持っています。さらにこの島皮質は、脳全体をON状態(集中した状態)にしたりOFF状態(ボーッとした状態)にしたりする「切替え(switching)」の機能も持っています。すなわち、島皮質は、体の状態をモニターし、体の状態が良いときには脳の状態をONにしてやる気を出させ、体の調子が悪いときには、脳をOFF状態にして、疲労感を出させ、やる気を失わせるようになっています。
島皮質がこのような機能を持っているのは、恒常性維持、すなわち生命維持のためだと私たちは考えています。オーバーワークによって体を怖さないように、疲れたときには脳をOFF状態にしやる気を失わせ、体の調子が良いときには脳をON状態にしてやる気を出させる、そのような役割をになっているのが島皮質だと考えています。「やる気がない」のは悪いことではなく、命を守っている状態と言えます。
この島皮質が脳卒中などで壊れると、体の状態が意識化されなくなるので、音楽を聴いても感情がわかない、美味しいものを食べても美味しいと感じなくなったりします。逆に、タバコを吸いたいという感情も発生しなくなるので禁煙の達成率が8割に上昇したりします(通常は4割の達成率)。また、この島皮質には特殊なニューロンがあり、その特殊なニューロンがある動物は、歌が歌えたり、鏡に映る自分を自分だと認識することができたりします(ほとんどの動物はこのニューロンがないので鏡に映る自分を自分と認識できません。興味のある方は、YouTubeで「mirror test on animals」というタイトルで検索してみてください)。
島皮質には、この他にも「左脳よりも右脳の方が大きく活動する」という「右脳優位性」を示すことがわかっています。「感情は右脳」の理由が島皮質にあるのかもしれません。このように島皮質には、不思議な機能がたくさんあります。私たちは、どのようにしたらこの島皮質の活動を変化させることができるのかを実験を通して研究しています。どんな情報を与えたら良いのか、どんな刺激を与えたら良いのかなど、「刺激」という入力と、「脳活動」という出力を組み合わせて、実験を行っています。脳活動を測る方法としては、脳波・fMRI・NIRSと呼ばれる装置を用いています。
このような研究を行っていると、「良い食事、良い睡眠、良い運動」といった体を整えることの重要さや、体を通して出てくる「感情・気持ち」と脳の前頭葉から出てくる「意思」とせめぎ合いの意味など、自分の理解・他人の理解に役立つ貴重な知識を得ることができます。
興味がある方は下記サイトを読んでみてください。
「「予測」を調べると心と体の関係が見えてくる(心理学ワールド)」
小谷研究室は、2024年からスタートした小さな研究室です。学部のない大学院生のみの少人数の研究室です。
上記の様な「島皮質」を対象に、修論の研究としては、実際には以下のような具体的(詳細)なテーマで研究を行います。
(1)脳波・事象関連電位のうちStimulus-preceding negativity(SPN:刺激先行陰性電位)に関する研究
SPN研究は人間の予測のメカニズム・心と身体の関係を調べる研究です。SPNの測定は難しいので根性が必要です(笑)。 2017-2021の5年間で発表された世界のSPNの論文のうち、約75%が小谷研のSPNの研究を引用しています。そのため、SPNは小谷研が世界をリードする研究テーマということになります(小谷研がすごいわけではなく、SPNの測定は大変な測定なのでみんながやりたがらないからです)。SPNの発生源のひとつが島皮質なので、SPNを調べることは島皮質を調べることに繋がります。
(2)fMRIを用いた島皮質に関する研究
fMRIは脳のどこが活動したかを詳細に示すことができます。このfMRIと「刺激」を用いて島皮質の活動を調べていきます。
(3)NIRS(近赤外線分光法)を用いた島皮質およびSPNに関する研究
SPNの活動をNIRSを使って捉えようとする研究です。SPNの右脳優位性をNIRSを用いて捉えることができないかについて研究します。
(4)上記の研究で得られた知見を応用する研究
島皮質は人間の感情と集中・リラックスに関係するため、様々なことに応用できます。この研究は、上記の(1)から(3)の研究から得られた知見を応用します。
どの研究テーマを選ぶかは、さまざま要因(在学生の研究状況・装置の状況など)を考慮して受験相談会の中で決定していくことになります。本研究室の学生は、全員が脳研究未経験者です。先輩方が残した資料や映像をみながら実験を行いデータを分析していくことになります(詳細は次節を読んでください)。
上記の研究を通して、脳の測定技術を学び、修了後に自分が抱えているテーマに新しい環境で挑戦していくということになります。脳研究初心者を対象としますので、テーマ選択の自由度は必ずしも高くないことを理解してください。
<2027年度入学に向けて(2026年度入学の相談は締め切りました)>
小谷研究室は、2024年4月からスタートした新しい研究室です。学生は修士学生が5名と学部生1名(学士特定研究)が在籍しています。全員、脳研究未経験者でした(いまは実験をとおして立派な脳研究者になり修士2年生は全員学会で発表しました)。女子枠はありませんが、大学の方針同様積極的に女子を受け入れます。現在在籍する、5名の学生のうち2名は女性です(彼女たちは非常に優秀です。)。
受験希望者は必ず事前(できれば3月中に・遅くとも出願締め切りの2ヶ月前までに)に小谷に連絡をとるようにして下さい(連絡先は、上記のAbout Meから)。出願までに相談会・勉強会(対面もしくはZomm)を行いながら、研究テーマの決定や志望理由書の作成などについて相談していきます。
小谷研を受験する場合、入試説明会を待たずに「とにかく早くコンタクトを取る」ことが重要になります。
受験は、例年、Zoomでの口頭試問になりますが、英語の外部テストのスコアの提出が必要になります。特にTOEICの場合、6月の出願(成績を証明する紙媒体の原本が必要)に間に合わせるためには、3月中に受験しておくことが必要になります(4月の第1回目のTOEICのテストはギリギリになると思いますし、3月中に申し込む必要があります。大学院の入試要項やTOEICのスケジュールを確認してください)。特に英語の外部テストの実施回数が少ないので、早めに英語の外部テストを受けて下さい。入試説明会に参加する前にとにかく外部の英語テストを受けておくことが重要になります。TOEIC(2技能)に間に合わず、TOEFL(4技能)に切り替えた場合(TOEFLの速達を利用すると4月に受験しても出願までに間に合う場合があります)、自分の不得意な英語技能が影響し、十分な得点が得られない場合もあります。TOEICなどの外部テストの得点がどのくらい必要というラインはありませんが、個人ごとに目標とするTOEICの得点について相談会・勉強会の中で相談していきます。
小谷研を受験する場合、脳研究未経験者でも可能ですが、以下の「いずれか」の知識が必要になります。
・人間の体に関する知識(身体科学・スポーツ科学)
・または、人間の心に関する知識(心理学)
・または、プログラミング(特にMatlab)に関する初歩的知識(工学等)
・または、生物に関する知識(理学)
・または、何も知識が無いがやる気だけは誰にも負けないという自負(この様な方は勉強会で脳研究に関する知識を得ていきますので、できるだけ早くコンタクトをとってください。)
脳研究未経験の受験希望者は、個別に研究に関する相談会に参加して頂き、小谷研の研究内容で問題ないかお互いに確認する作業を複数回行います(そのためある程度の期間が出願までに必要になります)。
とくに工学・理学出身者の方は、「人間のデータは、1+1が2にならない。ばらつきがある。」という原則が許容できることが重要になります。残念ながら、さっと実験して、さっと分析して、すぐにきれいなデータが出るということはありません。脳研究の場合、「砂金探し(多くのノイズの中から小さな信号を抽出する)」に近いような作業になります。そのため、学力も重要ですが、行動力も重要になってきます。
日本語について:授業・ゼミ・実験等はすべて日本語で行います。また、実験実施の際に参加者に実験の安全性・危険性などについて詳しい説明を行う必要があるため、ネイティブなみの高い日本語の能力が必要になります。
「小谷研の歴史」
小谷研は、元・社会理工学研究科・人間行動システム専攻・身心相関分野・石井研究室から分派しています。その伝統を引き継ぐため「身心相関研究室」を自称しています。
「心・身」ではなく、「身・心」となっているのは、「泣くから悲しい」というジェームズ・ランゲの仮説に興味を持っているためです。興味のある方は、ジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説を調べてみて下さい。
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